福井県立大学地域経済研究所

2023年11月

  • 日本税理士会連合会の寄附講座に思う

     福井県立大学は、その前身である福井県農業技術員養成課程からは1920年以来103年、経済学部の前身である福井県立短期大学経営学科からは1975年以来48年、そして福井県立大学開学からは1992年以来31年の歴史があり、多くの卒業生が様々な分野で活躍している。県内企業へ調査に伺うと県大経済学部の卒業生を紹介していただくことも多々あり、とても心強くまた活躍している姿を嬉しく思う。

     そんな先輩達を含む現場の声を学生に直接届けようと、経済学部では様々な機会を学生に提供している。今年度の後期には、日本税理士会連合会による寄附講座「実務から学ぶ会計と税務~税理士による租税講座」が開講されている。この講義では、実際に税理士として活躍されている方々を講師に迎え、実務家の立場から、税理士の仕事や会計・税務について講義を行っていただいている。

     講義の内容は、税理士制度と各種税務の解説(消費税、相続税、所得税、法人税)であり、実務に即したより実践的な学習となっている。また、社会で活躍する税理士が直接学生に声を届けることで、税理士という専門職や、その社会における役割・実際に行っている仕事、その魅力を伝え、税務制度ひいては社会について理解を深めることも目的としている。

     講義では、福井県立大学で一番大きな講義室いっぱいの学生が、真剣に話を聞いている。講師の税理士の方には思いや自身の経験・人生を、毎回熱く語っていただいている。今回の租税講義は憲法から始まった。税が国民主権、自由主義・民主主義国家を支える根幹であること、公平性の話、そして具体的な税の話へと展開されていった。「取られる」だけの存在だった税に対する認識を学生は大きく変えている。身近な消費税の話はもちろん、家族の相続にまつわる実体験やアルバイト代の源泉徴収、バイトで発行する領収書など、学生はこれまでの人生の「謎」について理解し、新たな疑問に気づき、毎回多くのことを学んでいる。とても充実した講義である。

     講師の税理士の方には、短大や大学院を含め福井県立大学の卒業生も多く、現役の税理士(先輩)から現役学生(後輩)に対して、税理士を目指すアドバイスや、税理士への誘いが、毎回熱く語られている。学生の多くはサラリーマンとして企業に就職する者が多いが、中には起業を考えている者、税理士を志している者(税理士をめざすことを決めた学生も)いる。この講義をしっかり聞いた学生は、税理士・税務を身近な存在として理解を深めるとともに、将来社会で活躍し、また社会に貢献できる人財となるだろう。

     さて、学生にはこれから確定申告を行うという課題が課されることになる。一般社会人としては必須の素養であるが、ほとんどの学生にとっては初めての経験であろう。非常に楽しみである。今回は提供中の寄附講座の様子をお伝えさせていただいた。これ以外にも経済学部では学生の学びのため福井の様々な企業にご協力いただいている。最後になりましたが、厚く御礼申し上げます。

    <講義の様子>

      https://www.fpu.ac.jp/news/d000000zzzzzzp.html
      https://x.com/fpu_economics/status/1728984490624610595

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  • グローバル地域セミナー

    12月14日(木)午後1時30分~5時に、地域経済研究所1階の企業交流室にて、「海外立地の理論と実態の最前線」をテーマに、「グローバル地域セミナー」を開催いたします。コロナ禍で途切れておりましたが、「アジア経済フォーラム」をひきついで、「グローバル地域セミナー」を12月14日(木)午後1時30分~5時に、地域経済研究所1階の企業交流室にて開催いたします。大分大学の宮町良広教授、大阪公立大学の鈴木洋太郎教授、当研究所の松原所長の3名による海外立地の理論と実態に関する3本の講義を予定しております。
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  • 北陸新幹線の福井延伸に関する地域経済研究フォーラムが開催されました。

     お知らせ

    11月24日(金)の午後に、福井駅前のハピリンホールにて、「北陸新幹線は福井をどう変えるか?―地域経済・都市構造の変化予測―」をテーマに、第4回地域経済研究フォーラムが開催されました。青森大学の櫛引素夫教授から、新幹線と地域との関係について、日本各地の事例を踏まえてご講演いただいた後。日本政策投資銀行の飯田一之様と宮原吏英子様より、北陸新幹線による地域経済への波及効果について、ご講演いただいた。その後、当研究所の松原宏と原田大暉が、北陸新幹線による福井県地域経済・都市構造の変化予測について、報告を行った。後半のパネルディスカッションでは、武部 衛福井県未来創造部新幹線・交通まちづくり局長、堤宗和敦賀市副市長にご登壇いただき、福井県、敦賀市のこれまでの取り組みをご紹介いただくとともに、前半の講演者を交えて、新幹線延伸に対する福井の課題について、意見交換を行った。当日は、130名の方に熱心に聞いていただくとともに、アンケートの回答のなかで、福井延伸の検討課題としては、「観光ルートの整備と2次交通」と「関係人口の増大と移住・定住施策」を挙げた方が多くを占めた。

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