福井県立大学地域経済研究所

2024年5月

  • 「脱炭素社会に向けた繊維産業政策の新展開と福井産地の課題」

    6月25日(火)の午後、福井県繊協ビル会議室にて、「脱炭素社会に向けた繊維産業政策の新展開と福井産地の課題」をテーマに、第2回地域経済研究フォーラムを開催いたします。経済産業省製造産業局生活製品課の土川輝係長にお出でいただき、産業構造審議会繊維産業小委員会での議論を紹介いただくとともに、当研究所での繊維産業集積についての研究成果を報告いたします。パネルディスカッションでは、福井大学産学官連携本部長の米沢晋教授、福井県繊維協会の藤原宏一会長、福井県織物工業協同組合の加藤英樹理事長にご登壇いただき、脱炭素社会に向けた福井の繊維産地の課題について考えます。詳細とお申し込みはこちら

    記事を読む

  • 福井県企業に学ぶ地方を豊かにする経営理論

     私と私の仲間達で『福井県企業に学ぶ地方を豊かにする経営理論』(白桃書房)という本を今年の春出版した。
     現在は、地方と都心との格差が指摘され、東京一極集中が問題視されている。地域活性化は、自治体に任せておけば何とかなるというものではない。その地方に関係する住民、企業、諸団体、市民がそれぞれ考えるべきことである。
     その地方に立地する企業がいかなる戦略で競争力を確保しているのか。地方に立地することをいかに強みに変えているのか。その事例を理論とともに示すことに本書の狙いがある。
     地方の活性化を企業の営みに注目した時に、無視しえない企業システムとして、考えねばならないのは、「ものづくり」「中小企業」「伝統産業」そして時に対峙する存在としてフランチャイズ・システム、IT産業、地方企業の生き残りをかけた多角化などがある。また、地方そのものを同定する営みとしての
    地名ブランドの議論もある。
     本書では、まず、地方のアイデンティティに関わる議論として、第1章に「プレイスブランディングによる地名価値の創出:三国湊と北前船を事例に」を置いた。地域をブランド化する試みは、地方活性化の有力な手段である。フランチャイズ(FC)に関する
     第2章「地方におけるフランチャイズ・システム」は地方におけるフランチャイズの経営者は、どのような役割を果たしているのかを分析する。
     第3章「事業定義からみる価値づくり経営 -松浦機械製作所の事例から-」は、福井市に本社を置く工作機械メーカーの株式会社松浦機械製作所は、工作機械の生産・販売に取り組み、独自のものづくりと開発精神をもつ企業である。成熟してきている工作機械産業のなかで、松浦機械製作所はどのようにして企業価値を高めてきたのであろうか。その要因を探ることで地方立地の中小企業経営への示唆を得ることを目的とする。
     第4章「サプライヤーとしての中小企業における両利きの経営-日本エー・エム・シーの事例から」は、中小企業の取引関係に関する研究である。地方の中小企業盛衰は日本経済全体から見ても重要な意味を持つ。本稿では、アセンブラー(発注企業)とサプライヤー(受注企業)との関係をサプライヤー関係とよび、その関係の中でも特に受注中小企業の発展に注目し議論を進める。
     第5章「Hacoaのケースと経営理論」では伝統産業の変化を取り上げる。福井県の伝統的工芸品産業である越前漆器製造において、木地の製造という下請工程を担っていた企業が、自社ブランド製品を開発、消費者へ直接販売すべく直営店を中心としたチャネル展開を進め、大きな成長を遂げたケースを詳細に記述し、ケースから同社の成長要因について経営学の理論から考察していく。
     第6章「前田工繊の長期成長戦略」は前田工繊株式会社の成長の歩みに注目し、そこから観察される戦略的な意義について議論することにある。創業100年を超える老舗企業であり、福井県を代表する企業の1つである。また、
     第7章「地方IT企業にチャンスはあるか 株式会社フィッシュパスを事例として」は福井県のベンチャー企業を取り上げる。ITとその関連産業は、地方の都会からの距離を直接にはハンデとしない。しかし、GAFAといったいわゆるプラットフォームは強力である。地方ITベンチャーはこれにいかに対抗していく道があるのか。
     ぜひ多くの人に読んでもらいたい。

    記事を読む

  • 農林水産物輸出に関する地域経済研究フォーラムが開催されました。

     お知らせ

    今年度第1回目の地域経済研究フォーラムが、5月24日(金)午後に、「農林水産物輸出の現状と課題」をテーマに、当研究所1Fの企業交流室にて、オンライン併用で開催されました。当研究所の前田陽次郎教授からの農林水産物輸出の推移と実際の売り場に関する報告の後、福井県農林水産部の平出 要流通販売課長から、県内農林水産物・食品輸出の状況と県の施策について、説明いただきました。続いて、京都府京丹後市の白岩恒美農園の白岩千尋様から、株式会社ブレンドファームを設立し、いちごなどの果物をタイやマレーシアなどに輸出してきた経験を語っていただきました。後半のパネルディスカッションでは、福井の農林水産物輸出の現状を確認するとともに、今後の課題について、対面・オンラインでの参加者のご意見を交えて、議論しました。

    記事を読む