福井県立大学地域経済研究所

2022年8月

  • 自然災害による住宅被害と被災者生活再建支援

     日本は、国土の7割が山地や丘陵地であり、傾斜が厳しい地形が多い。また、日本の南東の海上では、熱帯や亜熱帯低気圧が発生・発達しやすく、勢力の強い台風や集中豪雨などにより、土石流やがけ崩れなどの土砂災害が起きやすい(※1)。

     8月5日、福井県内で発生した記録的な大雨は、県内の交通インフラや住民の生活に深刻な被害をもたらした。南越前町では、河野川の上流部から大量の流木や土砂が押し寄せた(※2)。今庄駅付近ではレールや踏み切りが浸水し、列車が不通になった。北陸自動車道や国道8号等の主要道路は、土砂崩れや浸水の影響で通行止めになった。懸命な復旧作業により通行可能となったが、度重なる豪雨でその後も土砂災害が起きている。濁流や床下・床上浸水で土砂にまみれ破壊された家屋の被害も著しく、住民やボランティア等による住宅復旧作業が続いている。

     ⾃然災害により⽣活基盤に著しい被害を受けた方への支援に「被災者生活再建支援法」がある。この制度は、都道府県が拠出した基⾦から⽀援⾦を⽀給し、被災者の⽣活再建を支援するものである。支援対象は、10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等で、支援金の対象世帯は、自然災害により(1)住宅が全壊した世帯、(2)住宅が半壊又は住宅の敷地に被害が生じ、やむを得ず住宅を解体した世帯、(3)災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯、(4)住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯、(5)住宅が半壊し、相当規模の補修を行わなければ居住することが困難な世帯である(※3)。

     被災者は、市町村等が「罹災証明書」を発行することを確認したのち、居住地の市町村担当課に「罹災証明書」を申請し、証明書を得てから支援申請を行う。税金や国民健康保険料の減免、見舞金や支援物資の支給、国および基金から最高300万円の被災者生活再建支援金の給付、災害援護資金の借受等の支援が受けられる。自分だけで頑張ろうとせず、是非必要な支援は受けて欲しい。

     人は、住み慣れた自宅、使い慣れた家財、見慣れた景色、家族や近隣住民とのかかわりの中で、安心・安全な生活を営み、自分らしさを形成している。突然の自然災害で、住み慣れた住まいや住まい方が変わってしまった方々の苦悩は計り知れない。

     被災した方々の健康と一日も早い生活の再建を心からお祈りしている。

    (看護福祉学部 成田光江)

    ※1 一般財団法人 国土技術研究センターhttps://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary10

    ※2 気象庁によると、5日午前8時半までの24時間降水量は、南越前町今庄で57.5ミリを記録し、観測史上最大となった。

    ※3 内閣府 防災情報のページhttps://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/shiensya.html

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  • 「ウィズコロナの下における人口の課題を考える」

    2022年10月7日に、地域経済研究フォーラムとして、相互に連携協定を結んでいる国立社会保障・人口問題研究所と東京大学地域未来社会連携研究機構、福井県立大学の3者により、「ウィズコロナの下における人口の課題を考える」と題したフォーラムを開催します。

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  • 「創造時代Society5.0の仕事術」

    2022年10月26日に、福井県立大学永平寺キャンパス講堂にて、地域経済研究所主催で「創造時代Society5.0の仕事術」をテーマとした特別シンポジウムを開催します。

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