2023年3月
特別企画講座E(繊維産業の展開と若手社員の仕事内容を知る)の実施と考察 について
以前のメールマガジン(2019年1月/VOL.165※)でも述べたが、ご存じのように福井県は合成繊維を中心とした日本有数の繊維産地であり、ファッション分野では高級ブランドに生地が採用されたり、産業資材分野でも重要な部材として使用されたりしている。しかし一方で、学生への知名度がそれほど高くないためか、新卒の大学生を募集してもなかなか採用に至らない、という話も耳にしていた。
そこで、経済学部の講義として福井県の繊維産業に関わる方々をゲスト講師としてお招きした、特別企画講座を企画することとなった。いずれの企業における取り組みも大変興味深く、経営学を学んだ学生が「生きた教科書」として理論と実践とを結びつけて学ぶことは大きな意義がある。また、福井県内には繊維をルーツとしながらも、機械や化学、情報といった別の産業へと展開も多く見られることから、地域産業の発展について経済学的な視点から学ぶことにもつながる。そして、この講座をきっかけとして採用に結びつくことになれば、企業側のメリットにもなると考えたためである。なお、本講座の企画・実施にあたっては、本学と包括協定を結んでいる福井商工会議所の繊維部会にご協力を頂いている。
全15回の講義を終えて福井商工会議所が受講生から採ったアンケート(55名回答)によれば、福井県の繊維産業に関する理解度について、受講前が「よく理解していた」が9.1%、「やや理解していた」が23.6%と、地元出身の学生が半数近くを占めているにも関わらず、合わせて32.7%という非常に低い数値となっていた。一方で、福井県の繊維業界についての興味については、受講前が
「とても興味があった」が14.5%、「やや興味があった」が40.0%と、合わせて54.5%となり、興味はあるが理解度は非常に低いという状況であった。受講後の感想としては、理解度については「よく理解できた」が49.1%、「やや理解できた」が45.5%と、合わせて94.6%、興味については「とても興味が湧いた」が49.1%、「やや興味が湧いた」が38.2%と、いずれも大きく数字がアップしたことがわかる。受講生の講義への満足度については、「とても満足」が65.5%、「やや満足」が29.1%と、合わせて94.6%という高い数字となった。また講義では、主に本学卒業生を中心とした若手社員に現在の仕事内容について説明してもらう時間を設けていたが、学生はその内容にも高い関心を持っていたようである。
繊維産業は長い歴史を持ち、多くの危機的状況を乗り越えて新しい分野へも積極的に進出することで生き残ってきたことから、学生にとって学ぶべき点が多い産業でもあり、将来の仕事の場としても非常に魅力的だと思われる。しかし一方で、そうした繊維産業の魅力がほとんど伝わっていないように思われることから、若い世代が関心を持ち、今後の繊維産業を引っ張っていくようになるためには、さらに積極的にアピールを行っていくことが重要であることを、今回の企画を通して感じたことである。
なおこれらの詳細については、2023年4月中旬発刊予定の、株式会社東レ経営研究所編『経営センサー』2023年4月号、に掲載予定である。
※「「繊維王国・福井」の強みとは」
https://www.fpu.ac.jp/rire/publication/column/d152957.html池下譲治特任教授の最終講義が行われました。
2023年3月29日午後、地域経済研究所企業交流室(オンライン併用)にて、池下譲治特任教授による最終講義が、「グローバルビジネスの流儀」と題して、行われました。
南保勝地域経済研究所長・特任教授の最終講義が行われました。
2023年3月10日午後、福井県県民ホールにて、南保勝地域経済研究所長・特任教授の最終講義が、「地域再生の未来像―域内産業の歴史経路から未来の在り方を考えるー」と題して、行われました。その後、松原宏地経研特命教授がモデレーター、稲山幹夫福井県中小企業団体中央会会長・大野商工会議所会頭、井上武史東洋大学教授、清川卓清川メッキ工業株式会社専務取締役の3人がパネリスト、南保所長をコメンテーターとして、「ふくいの産業の未来を考える」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
ふくい地域経済研究第36号