福井県の男女共同参画
2022年のジェンダーギャップ指数(GGI)が公表された。日本の順位は146か国中116位で、男女格差に関して、先進国どころか世界中でも最低に近い水準となっている。GGIを公表している世界経済フォーラムは民間の経済団体であり、国連の機関でも人権団体でもない。経済団体が男女格差を問題にしているのには理由がある。男女格差の小さな国ほど一人当たりGDPや国際競争力が高い傾向にあることが分かっているのである。男女格差が小さな国ほど合計特殊出生率が高という傾向も確かめられている。少子高齢社会に伴う労働力人口の減少、経済的な低迷の長期化、といった日本が直面する課題の克服のためにも男女格差の是正は急務である。
GGIのスコアは、政治、経済、教育、健康の4分野から算出されているが、日本のスコアの足を大きく引っ張っているのが、政治(国会議員や閣僚の女性割合の低さ)と経済(女性管理職の割合の低さ、男女の賃金格差)である。管理的職業従事者に占める女性の割合は、日本では14.9%で、フランスの34.5%、イギリスの36.3%、アメリカの40.7%の半分にも満たない(「男女共同参画白書 令和元年版」内閣府男女共同参画局)。
福井県の女性の就業状況について確認をしておきたい。H27国勢調査によると、共働き率は58.6%、女性の労働力人口比率は52.6%で、いずれも全国1位、女性雇用者に占める正社員の割合は53.9%で2位となっている。一方、女性管理職比率は13.6%で46位に低迷している。日本でトップレベルに女性が働いているのに、管理職比率だけはブービーなのが福井県である。H28社会生活基本調査によると有業の女性の1日当たりの家事・育児時間が2時間44分なのに対して、男性は20分に過ぎない。その結果として、有業の女性の1日当たりの余暇時間が4時間28分なのに対して、男性は5時間20分と、自由に使える時間に関して1時間近くの格差ある。子育て期には格差はさらに大きくなる。「女性が働いていてあたりまえ」の福井県で、家事や育児、介護も「女性が中心になって担っていてあたりまえ」になっているのである。2022年2月定例福井県議会で、杉本知事は、子育て支援施策を大幅に拡充する方針を踏まえ、「日本一幸福な子育て県『ふく育県』であることを宣言し、県民もとより全国の若い移住希望者から選ばれる福井県を目指したい」と述べている。福井県は出産・子育てと女性の就業継続の両立が進んでいるが、それを支えているのが女性の多重負担であることにも注意しておかなくてはならない。
女性の多重負担と時間的なゆとりの無さが、キャリアアップに関するモチベーションの低下や断念につながっている可能性は高い。マミートラック(子育て中の女性が比較的責任が軽い仕事を任せられ、結果、キャリアアップが遅くなること)といった問題も存在している。福井県の幸福度のさらなる向上には、「共働き県」福井を、「共家事(トモカジ)県」であり、「共子育て県」でもあるように進化させていく必要がある。