福井県立大学地域経済研究所

お知らせ

  • ■中島精也先生による時事経済情報No.119

    PDFファイルはこちら

    記事を読む

  • 福井・戦争デジタルアーカイブスを公開しました

     お知らせ

    地域経済研究所の青木教授は、戦後80年を迎えたことを機に、福井新聞社とデジタルアーカイブの制作を企画しました。「若い世代にも伝える力になれば」と、青木教授の呼びかけに応じた福井県立大学の学生有志が、福井空襲の被害状況の調査を担い、被害エリアを示す地図や、800人以上に及ぶ犠牲者名簿のデータを整理し、データの可視化やデジタルマップ制作に取り組みました。


    このたび完成しました『福井・戦争デジタルアーカイブス』を公開しますので、ぜひご覧ください。


    福井・戦争デジタルアーカイブス
    https://www.fukuishimbun.co.jp/common/usr/map/war_archives/


    この地図に関するお問合せ、あるいはより詳細な情報をお求めの方は、地域経済研究所 青木までご連絡ください。

    記事を読む

  • 福井戦後80年デジタルアーカイブ学生発表会

    戦後80年を迎えたことを機に、福井県立大学の学生有志が福井空襲の被害状況を調査、被害エリアを示す地図や800人以上に及ぶ犠牲者名簿のデータを整理し、データの可視化やデジタルマップ制作に取り組みました。

    つきましては、このたび完成しました『福井戦後80年デジタルアーカイブ』の紹介を行います。 戦争の記憶を次世代につなぐ、学生の成果をぜひお聞きください。


     ◆日時:2025年7月19日(土)16時~18時
     ◆場所:ヨリバ(YORIVER)福井県福井市中央2丁目5―27
     ◆対象:福井の歴史に関心のある方
     ◆参加費:無料

    ◆当日の予定
    ・福井空襲被害の概要説明   福井県立歴史博物館 橋本紘希さん
    ・福井県立大学学生の活動・成果報告
    ・学生との意見交換
      ゲストコメンテーター
       福井県立歴史博物館 橋本紘希さん(学芸員)
       福井市立郷土歴史博物館 藤川明宏さん(同)

    福井・戦争デジタルアーカイブス

    福井空襲、犠牲者の人数と死没場所をデジタルマップに 福井県立大生が地図制作 県庁北側や東側で亡くなった市民多く | 社会 | 福井のニュース |福井新聞ONLINE |20250717

    記事を読む

  • 福井県立大学地域経済研究所・大韓民国大邱政策研究院 連携協定締結記念グローバル地域研究セミナー 「韓国の国土政策と地方高速鉄道ー日本の比較ー」

    8月20日(水)13時30分~16時30分に、本学永平寺キャンパス地域経済研究所1階の企業交流室にて、「韓国の国土政策と地方高速鉄道ー日本との比較ー」と題したグローバル地域研究セミナーを開催いたします。韓国の国土政策と地方高速鉄道の最新事情をご講演いただくとともに、日本の国土政策と北陸新幹線の経験を踏まえて、日韓の国土政策と地方都市のあり方について、考える機会になればと思っております。多くの方の参加をお待ちしております。

    チラシはこちら
    お申込みはこちら

    記事を読む

  • ■中島精也先生による時事経済情報No.118

    PDFファイルはこちら

    記事を読む

  • ■吉田陽介先生による中国現地ルポNo.23 買い替え補助金が一部地方で停止⁈政策の息切れか?

    家電買い替えの国の補助金が停止?

    ネットメディアが騒然

     昨年より、中国政府は景気浮揚策として、「下取り・買い替え」補助政策を実施し、個人消費を活性化させようとした。この政策は、3月に発表された「消費喚起特別行動プラン」も盛り込まれた。

     ここ数年、わが家のクーラーは調子が悪く、買い替えを検討していた。そこに補助金政策があったので、思い切って買い替えることにした。クーラー自体は3000元くらいだったが、700元ほどの割引があった。

     わが家のクーラーはインターネットで購入した。購入画面に進むとリンクがあり、そこから補助金の申請ができるという。

     ただ、補助金は購入した地域のものを申請する。例えば、上海の店で買ったら、同地の補助金を申請することになる。また、補助金はいつでも好きなだけ利用できるというものではなく、3回までという制限があるそうだ。

     わが家のクーラー買い替えの背中を押してくれた補助金だが、このほど、一部の地方で「下取り・買い替え」補助金の「一時停止」が発表された。この政策の「息切れ」を憶測させるものだった。

     中国メディアの報道によると、5月末より、重慶市、江蘇省、湖北省などが補助金の「一時停止」された。

     例えば、雲閃付(UnionPay)にある重慶の消費財「下取り・買い替え」の画面では、6月2日より、インテリア、水回り設備の買い替えの補助金を一時停止するといった通知が出されたそうだ。

     6月16日にアップされた「桜桃大房子」なるセルフメディアの記事は、この理由として、第一弾の国家補助金予算を使い果たし、まだ予算が下りていないこと、補助金の申請システムのメンテナンスを挙げている。

     「下取り・買い替え」補助金が「一時停止」された時期は、中国のEコマース大手「京東」の創立記念日に因んだ「6.18」販促セール行われており、消費者の購買意欲にも影響し、中国の消費促進策とも矛盾すると、同記事は指摘した。

    「補助金政策は終わらない」!

    公式メディアが「火消し」

     周知のように、この政策は、一時的な景気刺激策の性格を持つもので、一部から「需要の先食い」で、「持続不可能」ではないかという指摘もあった。中国の経済評論家の関不羽氏は4月23日に「新浪財経」で発表した記事の中で、次のように述べた。

     補助金政策の刺激が長続きするのは難しい。家電は全体的に限界的効果が明らかな消費カテゴリーに属し、補助金による消費刺激の作用は一時的なもので、特に冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの「大型家電」は、価格がいくら安くても、家に余分なものを置くことができない。現在、補助金効果の退潮はすでに見えてきた。2025年1〜2月の冷蔵庫、テレビの国内販売は前年同期比5%程度、洗濯機は前年同期比9%増にとどまり、「大型家電」の補助金による牽引はすでに鈍化している。

     この指摘の通り、わが家のクーラーもそうだが、一度買い替えたら、あと数年は買い替えの必要がなくなる。買い替え需要をある程度満たしたら、消費は鈍化することは間違いない。

     日本でも、消費促進のために、直すよりは買ったほうがいいという空気が社会にあった時期もあった。もちろん、モノをどんどん消費することは、経済にとっては好ましいことだが、その一方で、買い替えを見越した質の低下という問題がある。

     これを受けて、中国の主要メディアは関連記事を発表し、「火消し」を図った。「中国経済網(ネット)」は業界関係者の話を引用して、「少数の地域は段階的に「国家補助」実施のテンポを十全化していることから、実際には消費財の「下取り・買い替え」業務が一年を通じて続いている。最近、一部の企業、プラットフォーム、セルメディアはこの機会を捉えて、大げさに宣伝し、なんとしても売ろうとする営業を行なっている」として、「一時停止」が一部企業などによって、「営業の道具」になっていると指摘した。

     また、6月19日付の「人民日報」の記事も、「多くの地域の関係責任部門と関係責任者を取材したところ、いわゆる「国家補助金」を廃止するという事実は存在しないことがわかった」と述べ、さらに、「今年に入ってから、消費財下取り・買い替え政策が『強化』され、また『拡大』し、携帯電話、タブレット、食器洗い機などの新品目を増やしただけでなく、計上された超長期特別国債資金規模も2倍になり、昨年の1500億元から今年は3000億元に増えた」と述べ、「下取り・買い替え」政策が当面は続くと強調した。この政策は、「対処療法」的な政策であるため、いつまで続けるか、どのタイミングでやめるかという問題はあるが、まずは消費を活性化して経済の「パイ」を拡大することに中国政府は重点を置いているようだ。

    中国の消費活性化は

    長期的視点で

     補助金などを出して、個人消費を刺激する方法について、中国のエコノミストの洪灏氏は5月27日にWeChatアカウント「中国マクロ経済フォーラム」に掲載した記事のなかで、次のように指摘する。

     「政府は消費クーポンを含む刺激策を講じたことで、短期的な消費回復を促進したものの、これらの措置は通常一過性であり、恒久的な所得増加にはつながらない。所得が持続的に増加しなければ、消費も根本的に向上することは難しい。したがって、消費と投資の区分は曖昧になり、消費不足の長期的な解決には所得構造の根本的な改善が必要だ。」

     洪氏の指摘のように、商品券などの発行による刺激策は、今後の経済の先行きへの期待(予想)の悪化によって抑えられていた需要を喚起するもので、長期的なものとは言えず、景気の悪化に対して政府が何らかの措置を講じているという姿勢を見せることで、経済の先行きが決して暗くないということを示す効果は期待できる。

     長期的な消費活性化には何が必要か。6月13日付の「人民日報」の評論は、以下の点を述べている。

     第一に、雇用対策に一層取り組むことである。記事は、「就業は最も基本的な民生(暮らし)であり、社会の構成員が収入源を獲得する主要な手段」であるとして、消費促進と民生の改善を結びつけるには、何よりもまず就業の安定と拡大に取り組むべきとしている。

     第二に、賃金所得分配制度の十全化である。記事は、「賃金収入は労働者の主な収入源である」とし、「住民所得の増加と経済成長の同期を促進し、安定した所得期待で住民の消費自信を高め、住民の消費意欲を高める」と述べている。所得分配の中で、賃金収入を増やすようにすることはもちろんのこと、「ヒトへの投資」の理念のもと、労働者の質の向上についても言及している。

     第三に、社会保障網をしっかりと張り巡らすことである。記事は、「広範な住民が後顧の憂いなく消費できるようにするには、社会保障網をさらにしっかりと織り込む必要がある」として、年金制度の改革や医療保険の補助の引き上げ、フレキシブルワーカーへの社会保険加入などの措置を挙げている。

     この三つの政策のうち、所得分配や社会保障については、「消費喚起特別行動プラン」でも言及されているが、消費の「主力」との一部である「00後」の雇用の見通しが明るいものにすることは大事だ。また、AIの普及によって影響を受ける業種の人々が新たしいスキルをつけて、自分の付加価値をより高める「ヒトへの投資」も重要だ。長期的な消費活性化には、こうした措置が必要だ。

     「下取り・買い替え」政策の「一時停止」は目先の問題であり、「消費主導」への構造改革は長いスパンで取り組む必要がある。

                       

    記事を読む

  • 産業立地政策と自治体産業政策に関する地域経済研究フォーラムが開催されました。

     お知らせ

     5月28日(水)に地域経済研究所企業交流室にて、「産業立地政策の新展開と自治体産業政策」をテーマに、第1回地域経済研究フォーラムが開催されました。当日は、国のGX産業立地ワーキングなどに関する所長の松原からの報告をはさんで、中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局長の向野陽一郎様より経済産業省の地域経済産業政策について、福井県産業労働部長の大塚智樹様より県の産業立地政策について、お話しいただきました。後半のパネルディスカッションでは、福井市の黒田慶廣部長、坂井市の大久保聡司部長、小浜市の畑中直樹課長にご登壇いただき、各市の取組についてご紹介いただきました。その後、フロアの皆様からのご質問・ご意見をいただくとともに、向野支局長、大塚部長を交えて、企業誘致や中小企業振興などの自治体産業政策について議論いただきました。

    記事を読む

  • 北陸新幹線延伸開業と賃金の変化

     2024年3月16日の北陸新幹線延伸開業から1年が経過した。このような交通インフラ整備の効果については観光客増加など、産業への影響について言及されることが多い。しかし、その効果は特定の産業への影響だけでなく、労働市場を通じて地域全体に影響を及ぼす可能性がある。例えば、労働需要の増加により地域全体の賃金が上昇するなどといった影響が考えられる。実際、人手不足への対応として賃金上昇を挙げる県内企業もある(財務省北陸財務局「北陸新幹線県内開業による県内経済への影響について(令和6年4月)」)。そこで、このコラムでは、北陸新幹線延伸開業後のデータを観察し、福井の労働市場について、特に賃金を見てみよう。

     はじめに、賃金水準について見てみよう。なお、ここでの「賃金」とは「決まって支給する所定内給与額」のことであり、残業代などを除いた毎月の基本給から税金を控除する前の金額とイメージしてほしい。

     厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、2025年6月時点の賃金の全国平均は330.4千円であり、福井では290.9千円となっている。全国平均と比較すると福井県の賃金は39.5千円程度低い水準となっている。

     さらに、都道府県別賃金の中央値、すなわち、各都道府県の賃金を小さい順に並べたときの真ん中の値と比較してよう。平均値ではなく、中央値で比較するのは、全国平均を上回る賃金となっている都道府県は東京、神奈川、大阪、愛知のみであり、また東京の賃金は403.7千円であることを考えると、中央値の方が一般的な賃金の傾向を比較する上では適切と考えられるためである。令和6年の都道府県別賃金の中央値は297.2千円となっているため、新幹線開業の3ヶ月後においては、福井の平均的な賃金水準は全国の一般的な労働者の水準と近いと考えられる。

     ここで、賃金の変化率について見てみよう。ここでは中央値の変化率と福井の変化率を比較する。令和5年から令和6年にかけて、1年間の変化率を見ると、全国の中央値では約2.4%増加し、福井では約2.0%増加している。したがって、一般的な賃金の伸び方と比べると、福井の賃金の伸び方はやや緩いものとなっている。

     ただし、この結果は開業後の3ヶ月時点の変化であり、延伸開業による影響が直接的なものに留まっている可能性もある。実際、延伸開業によって直接的に大きな影響が及ぶと予想される「宿泊業、飲食サービス業」において、その賃金の変化率を見てみると、令和5年から令和6年にかけて約8.6%の増加となっている。「宿泊業、飲食サービス業」の都道府県別賃金の中央値の変化率、すなわち、当該業種における一般的な労働者の賃金変化率は約2.0%の増加となっているため、福井の宿泊業、飲食サービス業においては賃金が大きく上昇したと言える状況にある。この影響が当該産業の労働者の消費の活発化へとつながれば、時間とともに地域全体の賃金上昇へと向かう可能性もある。

     もちろん、交通インフラ整備と賃金との間の因果関係については精緻な統計的方法による検証が求められるが、今後様々な業種にどのような影響が見られるか、注視していく意義はあろう。

    記事を読む

  • ■中島精也先生による時事経済情報No.117

    PDFファイルはこちら

    記事を読む

  • 今の米の値段は妥当なのか?

     昨年(2024年)8月に起こった「米不足」に端を発する米の高値は、現在(2025年4月)も収まる気配がない。日本全体では小売価格が平年の約2倍である5kg4,000円を超える水準になっていて、福井市内のスーパーでも4,000円に近い値段で売られている。政府は流通の目詰まりが原因だとして備蓄米の放出を始めたが、米の価格は大きく下がっていない。一方、先月調査に行ったベトナムでは、福井県産米が5kg1,500円程度で売られていた。なぜこういう状況になっているのか、現在の制度や経済学の理論をもとにした分析を世間でほとんど目にすることがない。
     まず今の値段が妥当なのか。経済学的に考えると妥当だといえる。米の値段は統制価格ではないので需給バランスで決まる。需要に対して供給が少なければ値段は高くなる。あまりに高いと消費者は買わなくなるので、そこで価格は落ち着く。現状でいえば、値段が高くなっても販売量は大きく減っていないので、妥当な値段に落ち着いているということだ。
     ではなぜ今までもっと安かったのか。それは競争が起こらず、市場における価格調整機能が働いていなかったからだ。
     米の流通は農協が独占している訳ではない。農家が直接消費者に販売してもいいし、小売店や卸売業者が農家から直接買ってもいい。今まで米の販売で儲かると思わないから、農協流通以外で参入する業者が少なかっただけだ。
     米不足になって、流通業者は品薄の米を求めて直接農家に買いに行った。農家も家まで買いに来て、さらに高い値段で買い取るというのであれば、農協に出荷せず業者に売る。農協は高い値段を提示しないと米が集まらないので値段を上げる。こうして競争が起こり正常な価格形成機能が働いたのだ。
     輸出向けはどうなのか。輸出向けの米を作ると補助金が出る。これは栽培面積あたりで計算され、作付け時には補助金の申請を決めている。補助金の申請をした水田でできた米は、輸出しないといけない。作付け時には販売価格も決めていて、補助金まで含めて農家の収入が国内向けと同程度になる水準で契約する。契約した以上は、いくら収穫時に国内向けの米価が高騰しても、補助金が絡んでいるので作付け時の契約価格で農家は輸出業者に売らざるを得ない。だから海外のほうが国内より安く販売されているのだ。
     輸入すれば国内でも安い米が手に入るのか。日本の輸入関税が法外に高いから安くならないのか。そんな単純な話でもない。
     日本は米の輸入に関してミニマムアクセス制度を導入している。一定量までは無税で輸入し、それを越えると高い関税になる。日本人の口に合うカリフォルニア米も、一定量まで無税で輸入されていたのだ。
     ところがカリフォルニア米は安くない。カリフォルニアは降水量が少なく生産量に限界がある。そこに干ばつやアメリカ国内での米人気が加わり、アメリカ国内価格が高騰していたのだ。だから日本に無税で入ってきても高くて売れないから、2023年まではミニマムアクセス枠の米が売れ残っていた。2024年はカリフォルニア米の値段も下がり日本産米が高騰しているので、枠を消化した上、枠外で高い関税を払って輸入しても売れる状況になっている。今の状況が続くかどうかはわからないので、米の輸入障壁をなくしても、将来安い輸入米が流通するという保証はないのだ。
     こういう話は、もっと世間で普通に話されて欲しいと私は思っている。

    記事を読む