福井県立大学地域経済研究所

2022年

  • 「ウィズコロナの下における人口の課題を考える」

    2022年10月7日に、地域経済研究フォーラムとして、相互に連携協定を結んでいる国立社会保障・人口問題研究所と東京大学地域未来社会連携研究機構、福井県立大学の3者により、「ウィズコロナの下における人口の課題を考える」と題したフォーラムを開催します。

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  • 「創造時代Society5.0の仕事術」

    2022年10月26日に、福井県立大学永平寺キャンパス講堂にて、地域経済研究所主催で「創造時代Society5.0の仕事術」をテーマとした特別シンポジウムを開催します。

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  • 自己変革と連携、待ったなし

     中小企業庁が公表した『2022年版中小企業白書・小規模企業白書』(以下、白書)のテーマは、「自己変革力」および「事業の見直しと地域内連携」である。
     白書では、新型コロナウイルス感染症の流行や原油・原材料価格の高騰など、厳しい外部環境に直面する中小企業・小規模事業者が、足元の事業を継続し、その後の成長につながる方法のひとつとして「事業再構築」※1を挙げている。また、中小企業の成長を促す取り組みとして、オリジナルの付加価値を有し、適正価格が付けられる価格決定力を持つ「ブランド構築」や、従業員の能力開発のための人的資本への投資をはじめとする「無形資産投資」に注目している。
     「事業再構築を行っている企業の3割以上で売上面の効果がすでに出始めている」「ブランド構築・維持を図る取り組みを行っている企業では、自社ブランドが取引価格に寄与している割合が高い」「計画的なOJT研修、OFF-JT研修をいずれも実施している企業ほど売上高増加率が高い傾向」など、東京商工リサーチが実施した「中小企業の経営理念・経営戦略に関するアンケート」(2021年2月)の結果を参考に「事業再構築」「ブランド構築」「無形資産投資」が必要・重要とした。
     「無形資産投資」に関しては、昨年(2021年7-8月)、福井県立大学地域経済研究所が福井県から受託して、福井県内企業を対象に行った「福井県企業の事業活動に関するアンケート」(有効回答297件)でも同様の結果が得られている。具体的には、未来投資※2の実施の有無とその種類※3を尋ねたもので、「人材育成を行っている企業ほど、業況が右肩上がりの傾向が強い」ということが分かったのである。
     他方、企業規模が小さくなるほど経営や事業に関する知識やノウハウの不足、販売先の開拓や確保といった様々な課題に直面していることが予想される。「事業再構築」「ブランド構築」「無形資産投資」の重要性が理解できたとしても、すべてを自前で行うことは困難といえよう。
     加えて、DXやGX、健康社会、レジリエンス社会といった社会変化とも向き合い、自社の利益追求だけではなく、事業を通じて多様化する中長期的な社会・経済課題を解決していくことが求められるようになる。ゆえに、事業継続、事業成長の難易度が高まり続ける中では、他者や外部との連携・パートナーシップ関係を強化することで「自己変革力」を高めていくことが、さらに望まれるのではないだろうか※4。地域企業の「自己変革」「連携・パートナシップ」の強化は、待ったなしである。

    ※1 新たな製品やサービスを提供したり、製造や提供方法を相当程度変えることなど。
    ※2 数年先の収益確保や増加のために先行して行う投資のこと。
    ※3 研究開発や人財育成、設備整備、マーケティングなど
    ※4 福井県立大学では、地域との連携を進めるための全学的な組織として「福井県立大学地域連携本部」(http://www.fpu.ac.jp/renkei/)を設置しております。「自己変革」「事業の見直し」「人財育成」「共同研究」な ど、お困りのことがありましたら「地域連携本部」または「地域経済研究所」 にお問い合わせください。

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  • 東京大学地域未来社会連携研究機構との連携協定締結記念シンポジウムが開催されました。

     お知らせ

    2022年7月19日に、福井県立大学地域連携本部と東京大学地域未来社会連携研究機構は連携協定を締結しました。県立大永平寺キャンパスの講堂では、締結式の後、記念シンポジウムが開催され、250名の参加者の前で、東大工学系研究科教授の坂田一郎機構長が、「次期国土形成計画と北陸地域の未来戦略」と題した基調講演を行いました。後半のパネルディスカッションでは、松原宏地経研特命教授をコーディネーター、坂田教授、県立大経済学部の北島啓嗣教授、廣瀬弘毅学長、桑原美香教授をパネラーに、「北陸新幹線延伸による福井地域の発展可能性と課題」をテーマとして議論がなされました。

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  • 包摂的成長と地域

     6月11日と12日の2日間、埼玉にある城西大学にて、産業学会の第60回全国大会が、久しぶりに対面で開催された。産業学会では、鉄鋼業や自動車産業など、個別の産業を取り上げ、深堀りすることが多いのだが、「たまには産業を横断するようなテーマを取り上げたら」と口を滑らせた結果、私自身が「動揺する国際政治と日本の産業政策の課題」と題した報告を行うはめになってしまった。報告では、2021年6月の経済産業省産業構造審議会総会で提示された「経済産業政策の新機軸―新たな産業政策への挑戦―」を取り上げたが、その後の討論でも、これまでの「官主導の伝統的産業政策」と「民主導の構造改革アプローチ」との違いが論点になった。日本の学界では忘れ去られていた産業政策に関する議論が、にわかに登場してきたことに、私自身は今でも当惑を感じざるを得ないが、背景には、「中国製造2025」に対抗する米国バイデン政権の成長戦略や、ポストコロナにおけるグリーンやデジタルへの移行を進めるEUの産業政策があることは確かなように思われる。そして、もう1つの要因として、従来の産業政策では扱ってこなかったムーンショット的な研究開発や中長期的な社会的課題への対応に迫られていることがあげられる。
     こうした背景をもとに、産業構造審議会の下に「経済産業政策新機軸部会」(座長:伊藤元重東京大学名誉教授)が設けられ、2021年11月~22年4月までに8回もの会議が開催され、中間整理案が取りまとめられた。そこでは、目指すべき経済社会に関して、「経済成長・国際競争力強化および多様な地域や個人の価値を最大化する包摂的成長の両者を実現する」と表明され、ミッション志向型の産業政策として、①炭素中立型社会、(2)デジタル社会、(3)経済安全保障、(4)新しい健康社会、(5)災害に対するレジリエンス社会、(6)バイオものづくり革命、といった6項目の実現が掲げられた。
     ところで、4月12日の第7回「新機軸部会」では、包摂的成長を中心的なテーマとし、中小企業や文化・スポーツとともに地域が取り上げられ、私は「包摂的成長における地域の意義」と題した報告を行った。報告の準備で、inclusive growthについて調べてみると、国連やIMFなどが地球規模での貧困や格差問題への対応として取り上げている事例が多く、先進国内では、イギリスの大都市内での貧困地区対策が目に付いた。地域間格差や条件不利地域への政策的対応については、戦後の国土政策や産業立地政策で長年取り組まれてきたものだが、「どの地域も取りこぼさない」というスローガンの下で、新たな政策をどう打ち出すか、なかなか難しいように思われる。
     その一方で、私はもう1つの見方に注目したい。すなわち、個性豊かな多様な地域が力を出し合うことで、新たな成長がもたらされるとするものである。ただし、多様な地域の組み合わせをどのようにしたらよいか、未解明な点が多い。包摂的成長と地域をどうみるか、こうした議論は始まったばかりで、それこそ対面での意見交換を繰り返して、内容を豊かにしていくことが求められるのである。

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  • RESASを活用した政策立案に関する地域経済研究フォーラムが開催されました。

     お知らせ

    RESASを活用して人口減少対策と産業振興を考える」と題した地域経済研究フォーラムが、2022年6月23日と6月30日に、オンラインと対面(地域経済研究所企業交流室)の併用にて開催されました。まち・ひと・しごと創生本部が提供しているRESAS(地域経済分析システム)の使い方について、松原宏特命教授から説明がなされた後、福井県庁と県内市町の担当者が人口や産業についてRESASによる分析を行い、分析結果の発表と討論を行いました。

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  • 「北陸新幹線が創るふくいの未来」

    「北陸新幹線が創るふくいの未来」をテーマに、東京大学地域未来社会連携研究機構との連携協定締結記念シンポジウムを開催します。

    2022年7月19日(火)の13時30分~16時30分に、東京大学地域未来社会連携研究機構と福井県立大学地域連携本部との連携協定締結を記念して、福井県立大学永平寺キャンパス講堂にて、シンポジウムを開催いたします。東京大学の坂田一郎機構長による「次期国土形成計画と北陸地域の未来戦略」と題した基調講演と、「北陸新幹線延伸による福井地域の発展可能性と課題」と題したパネルディスカッションが行われます。

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  • 「沖縄の人口動向から地域の魅力について考える」

     今月も様々な報道がありました。「ダチョウ倶楽部」上島竜兵さんの逝去、国政選挙で選ばれた方々の問題発言の数々、東京スカイツリー開業10周年、「英語教育実施状況調査」結果の公表、「運転技能検査」の開始などなど。これらの出来事をめぐって個人的にいろいろ考えさせられましたが、本コラムでは迷った挙句「沖縄」を取り上げることにしました。といいますのも、今月15日(日曜日)は周知のとおり、沖縄が本土に復帰してからちょうど50年目という節目の日でした。私も今年、4年ぶりに「地域経済研究所」に戻ってまいりました。ちょっとした因縁を感じることもあり、ちょうど良いテーマかと考えた次第です。

     メモリアル・イヤーということもあり沖縄に関する記事や番組は平年より多くなっていると思いますが、現在放送中のNHKの朝ドラも沖縄が舞台の『ちむどんどん』。沖縄ことばで、チム(肝=心胸・心)が高鳴る様子を意味する状態のようです。かつて沖縄に旅行した際、『高等学校琉球・沖縄史』という教科書を国際通りにほど近い古本屋でたまたま見つけたので興味本位で買ってみたところ、自分が高校時代に学んだ“日本史”とはかなり異なっていることに、相当『ちむどんどん』したことを思い出します(使い方がちょっと間違っているかもしれませんが)。

     そんな沖縄には本土と異なる様々な特徴があります。その一つが「人口」です。5月は「子どもの日」、「母の日」がありますが、総人口に占める子どもの割合、母親の割合が47都道府県中最も高いのが沖縄県です。婚姻率や合計特殊出生率が本土返還以降、ずっと全国トップです。平成17年版の厚生労働白書のコラム「沖縄県の出生率が高い理由」では、(1)共同社会的な精神がまだ残っており、子どもを産めばなんとか育てていける。(2)男児後継ぎの意識が強く残っているので男児が生まれるまで産児を制限しないという説がある、と分析されています。政府刊行物にしてはかなり思い切った論考です。そして、出生数から死亡数を引いた自然増加数がプラスなのは、2016年以降沖縄県だけになっています。さらには、転入超過数(転入者から転出者を引いたもの)もプラスで推移していることから、沖縄は現在全国で唯一、人口が増加している県です。対照的に、自然増加数を大幅に上回る転入超過数によって人口を増やしてきた東京都では、コロナ禍によって転入超過が激減したことから、社人研による将来推計人口よりもかなり早いタイミングで人口減少に転じてしまいました。しなしながら、沖縄が単に“優等生”かというと、そうではありません。離婚者割合、嫡出でない出生や婚前妊娠による出生割合が高いことは、少なくとも“本土”では一般的に“良くないこと”とされています。平均寿命は他地域と比べて伸び悩んでおり、返還直後の男女とも全国1位から徐々に順位を下げています。

     このように多面的な顔を持ち、かつ変化の激しい沖縄ですが、人を引き付ける魅力は依然健在のようです。“沖縄は特別だから”と考える向きもありますが、しっかりと向きあってみると、地域の魅力とは何なのか、案外その本質が見えてくるような気がします。

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  • 「RESASを活用して人口減少対策と産業振興を考える」

    2022年6月23日と6月30日に、「RESASを活用して人口減少対策と産業振興を考える」と題した地域経済研究フォーラムを開催します。

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  • 「祭り」という文化

     福井県の東北部、奥越の地には2つの城下まちがあり、その一つが人口22千人あまりの小さなまち勝山市である。
     ところで、同市の歴史的遺産を一つ挙げるとすれば、それは「越国」の僧、泰澄大師によって確立された白山信仰の一大拠点、平泉寺が今もその姿を残していることであろう。最盛期には48社36堂6千坊を誇り、越前文化の中心的存在であったともいわれている。天正2年(1574年)に一向一揆勢により焼き討ちに合うが、その9年後の天正11年(1583年)、平泉寺に戻った僧たち(顕海僧正と、その弟子専海、日海たち)が平泉寺の再興に着手、現在残る平泉寺白山神社を建立した。その後、江戸時代にはこの地の大名たちから手厚い保護を受け白山信仰の拠点として、現在までその存在感をとどめている。
     また、この地は、全国でも貴重な恐竜化石の宝庫としても知られており、その拠点、福井県恐竜博物館には、コロナ禍前、年間100万人あまりの来場者が訪れたという。それと併せて、当地を代表する宝といえば、毎年2月の最終土日に開催される「勝山左義長まつり」を挙げなければならない。奇祭と呼ばれる「勝山左義長まつり」は、勝山藩主、小笠原氏が入封して以来300年以上の歴史があるといわれる。通常、市内の各地区には12基のやぐらが立ち並び、そのうえで色とりどりの長襦袢(ながじゅばん)姿に着飾った老若男女が独特のおどけ仕草で三味線、笛、太鼓、お囃子を披露し、その姿に多くの見物人が酔いしれ、コロナ禍前なら2日間で約10万人の来訪者を数えたらしい。
     ところで、全国的に名高い祭りには、神田祭、祇園祭、天神祭、ねぶた祭、七夕祭、竿灯祭など挙げればきりがない。普通なら日本全体で年間何十万もの祭りが催されるともいう。しかし、この祭りという文化はいったいいつ頃から始まり今に至っているのか。一説では、神話の世界まで遡りその原点が語られているそうだが、古代社会に始まり仏教伝来や神仏習合の時を経て多様な意味を持つようになった祭りが、庶民の間で娯楽として定着したのは江戸時代に入ってのことらしい。この頃から、神輿や山車行列、獅子舞、花火大会など現在でも馴染みの催しが多く見られるようになったと聞く。ただ、明治に入ると、新政府から発せられた神仏分離令によってその歴史が大きく変わることになる。終戦後は寺社とは無縁のイベントとしての祭りも増えているようだ。
     私の住む地域の秋祭りも、コロナ禍前の例年であれば賑わいが絶えなかった。ただ、一つだけ惜しいことは、地域の祭りも時代とともにその形が変化していることだ。神輿を担ぐ若集も、かつての胴巻き姿に法被、足には白足袋に草鞋(わらじ)といった出で立ちが崩れ、現代風にアレンジされた姿が目立つようになった。これも時代だから仕方ない。とはいえ祭りは文化、いにしえの形を受け継ぎ、守り、次の時代に伝えてほしいと思うのだが。とにもかくにも一日も早くコロナ禍がおさまり、前の祭りの姿を取り戻して欲しいものだ。

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